(レビュー)-Compressor Pro-【Keeley】
コンプレッサーでおなじみ【Keeley】です。こちらは数あるシリーズの中で上位機種のようです。こちらはVCAタイプで、楽器問わず幅広く対応できるようです。
ところで、純然たるコンプレッサーとしてのレビューは初めてですが、実にここ数年はコンプレッサーの沼にドはまりしています。トホホ…。
そんな中でこちらのコンプレッサーを最初にレビューしようと思った理由は、単純に使いやすいからです。
基本スペックは省きますが、特徴的なのは中心部分にあるふたつのトグルスイッチです。
まず、左が「KNEE」スイッチです。それぞれハードニーとソフトニーが選択できます。数値的にどういう違いがあるかまではわかりませんが、ベースで特に指弾きの際にはソフトニーがしっくりきます。
これまでアタック/リリースタイムではどうにも調整できなかった低音の潰れすぎ問題等をうまく解決してくれます。ほかにも他社のコンプレッサーでは、サイドチェイン機能を使用して低音を逃がし解決を図るケースもありますが、低音のふっくらさを残しつつコンプ感もほしいという場合はニーによる対処がいいのではないかと思います。
次に、右にあるのは、アタック/リリースタイムの「AUTO」スイッチです。これがまた絶妙で入力信号の性格?によってアタック/リリースタイムを自動で制御するそうです。正直最初はあまり期待してませんでしたが、使ってみるとほぼAUTOモードONです。むしろOFFにしたときの任意の設定がちょっと難しい気がします。VCAタイプって幅は広いんですが、深くかけたときの不自然なにおいがするというか…。私の力不足ですきっと。そういった意味でこの設定をAUTOにしてくれるのは非常に助かります。
また、基本機能で特徴的な部分を挙げますと、
Thresholdは「-50db~10db」と、とても幅が広くてある程度の入力信号の大小はなんら問題ありません。
Gainも「-20db~20db」と幅広くノイズレスですので使い勝手がいいです。
基本キャラクターはKNEEで設定し、一番迷うアタック/リリースタイムはAUTOで、という多機能の割にあまり迷わない使用感が一番の魅力です。
(レビュー)-NOTCH FOR SLAP BN-1-【ALBIT】
ベースマンにはおなじみ【ALBIT】。ベース用のノッチフィルターです。
コントロールはシンプルで「VOL」「NOTCH」の2つのみ。
そして小さいです。
「NOTCH」の効きはAカーブというかDカーブというか、最後にグッと効きます。
感覚的にですが800~900Hzあたりがカットされているのではないかと思います。
また、「NOTCH」のかけ具合にもよりますが、指弾きで使うと、ちょっと音が引っ込んで大人しい印象のサウンドになります。ただし、重心はけっこう低くなります。
そしてそしてFOR SLAPということもあり、スラップすると急に存在感が増します(笑)
サムの重心の太さと、プルの線の太さがすごく前に出ます。あんまり太すぎると感じたときは「NOTCH」を下げていくとバランスします。もしくは、がっつり「NOTCH」を上げて、ノッチフィルターの後段にコンプレッサーを噛ませて整えるというのもよかったです。
音の太さばかり言ってしまいましたが、ハイの聴覚上プルのおいしいところ以上の帯域は抑えてくれているような気がします。そのおかげでセンシティブにならなければいけないところが少し解消され弾き心地も良くなります。
当然ですがボリュームを上げてもノイズはまったくありません。
ひとつ難点を上げるとしたら、その筐体の小ささ故に電池が内臓できないので必然的にDCケーブルを使用することになるのですが、ジャックの間隔が狭いので少しプラグの太いケーブルはDCケーブルと干渉します。
見た目の可愛さとサウンドの力強さとのギャップが激しいところもおもしろいです。
(レビュー)-SANS AMP BASS DRIVER DI V1初期型-【TECH21】
ベースマンなら一度は虜になった経験があるであろうサンズアンプのV1初期型です。
ちなみに私が長く使っていたのはV1後期型です。私がベースを弾き始めのころ楽器屋で売っていたのはV1後期型でした。基本のオーバードライブやディストーションしか知らなかったド田舎暮らしの私にとっては、修学旅行でこっそり立ち寄った楽器屋で試奏したサンズアンプはまさに魔法のようなアイテムでした。なけなしの修学旅行お小遣いのほとんどを投入して買ったときのドキドキ感はいまでも忘れませんねほんと。こういう記憶は大切にしたい。
また、ベースマガジン2019年12月号でサンズアンプが特集されていたことが記憶に新しいですが、そんな話をベースの友人にしたとろ「自分サンズアンプを2個持ってる」ということで、すぐさま2個とも借りました。どちらも気になっていたV1初期型でした。
ということで、今回はV1初期型のレビューです。
まず周知の事実として、V1初期型とV1後期型のサウンドは別物ということです。ベースマガジンでも語られていますが、その時代の音楽シーンを見事に反映したチューンナップにより狙っているサウンドが違っていて大変面白いです。
個人の好みもあるんでしょうが、いわゆるV1初期型派の人のほうが多く見かけますね。
私は長いことV1後期型と付き合ってきたので大変愛着もあり、築き上げた信頼関係に揺らぎしとの気持ちを持ち比較試奏に挑んだわけです。
その結果、V1初期型は見事でした…!
ナチュラルにサンズアンプしてるといいますか。もしかしたらサンズアンプだと気づかれないかもしれない音作りも可能です。というか、個人的にはそのくらいのサンズアンプのサウンドが好きです。ちなみに私はプレべで弾いてますが、ジャズべでもドンシャリを極めた独特の芯の細い感じには比較的なりにくいと思います。V1後期型の700Hzあたりが強烈にカットされたシェイプとは違い、少し穏やかで温かみを感じます。
そしてV1初期型は2個あると言いました。
個体差はあまりないことを期待したのですが、これまた違いました。どっちが良いというかこれも狙っているサウンドが違うのだと思います。一方は全体的にフラットなキャラクター、もう一方は150-200Hzと1-2kHzあたりがブーストされたようなピックで弾いたときに抜けてくるキャラクターでした。
見た目はほぼ同じ。フットスイッチのナットの形もどっちも丸形タイプ。唯一違ったのがシリアルナンバーのフォント…!メイリオとゴシックの違いのような…。製造工場の違いとかあるのでしょうか…。サンズアンプのシリアルナンバーはどう読めばいいのでしょうかね。単純に若い番号のものが古いというわけでもなさそうですからね。
機会があればフットスイッチのナットが六角型のタイプも比較したいですね。
(レビュー)-Dyna Force-【Neotenicsound】
ここ数年個人的にブームがきているメーカー【NeotenicSound】さんのベースプリアンプです。
このメーカーさん、もとは【hatena?】という名前でエフェクターを製作しておりました。ベーシストをはじめギタリストやほかの楽器奏者の方も使用するエフェクターを製作しておりました。生産が終了した今でも「ActiveSpice」は人気があります。
ところで私が【NeotenicSound】さんを知ったのは2019年。ネットで「hoffman」というエフェクターの見た目に惹かれ買ったことがきっかけでした。機能的にはコンプレッサーやリミッターの役割で、聴覚上はさりげないくらいにうっすらとかかる感じです。が、なんといってもこのエフェクターの一番すごいところは弾き手が気持ちよく弾けるということです。
そんなわけでこのメーカーさんには大変興味を持っていたわけです。公式サイトでは試奏システムもありますので是非活用してみてください。簡単に言うとエフェクターを一週間貸してくれるって話です。いつもの自分のシステムで試奏できるわけです。そのあたりの配慮には大変恐れ入ります。
さて、本題です。
からの最初に結論を言いますと、私はこのプリアンプから「ベースの良い音ってのはこういう音なのよ」と教えてもらいました。良い音とはもちろん個人によって違うというのは大前提ですが、いわゆる往年のベースサウンドといいますか、、、これまで世界中の人々に愛されてきたベースの音はこういう音だったのかと私自身実感することになりました。ちゃんと説明しないと語弊のある言い方になってしまいますが、以下少しずつ説明します。
まず第一印象はとにかく音が太い!しかし巷に溢れる「音が太い」とはずいぶん違います。太さの中に細さもあってちゃんとベースの音がするという言葉にしかなりません。アンプの目の前で聞いているような音がラインで聞こえてくるのでびっくりします。
当時、私はDINGWALLのABⅡを使っており、DINGWALL特有?の線の細さがうまく補正されフェンダーにも通ずるイナタイ音が出せてびっくりしました。
そして、このプリアンプ、本来のプリアンプの使い方を前提に作られています。昨今の「プリアンプ」という位置づけでありながらエフェクターのような使い方をするプリアンプとは違い、DynaForceはリターン挿しがお勧めです。
どんなアンプを使うかにもよりますが、自分のヘッドアンプを使っていてその内臓プリアンプが気に入っている場合は、ヘッドアンプ側で少し控えめなセッティングにしておくとちょうどいいかもしれません。
ちなみにツマミは、
「Level」
「Punch」
「Body」
「Wood」
「Edge」
「Density」
少々見慣れない名前のツマミです。ここでひとつ注意したいのが、どんな動きをするのかイメージができていないと頭の中で予想する音と、耳から聞こえてくる音が乖離してどう調整していいかわからなくなる迷子になる可能性があります。私自身そんな時期が少しありました(笑)
ただ、耳のいい人、もしくは既に「良い音」を知っている人にとっては直観的にすっと飲み込めるのかもしれません。
そんな私は、本機のポテンシャルを100%引き出したく【NeotenicSound】さんに直接伺ってきました!※片道7時間。
以下、製作者であるいっぺいさんから直々に教えていただいたことです。
- 「Level」は12時、それ以外はゼロから始める。
- 「Edge」は弦の鳴りとボディの鳴りのバランスをとるもの。人によって爪っぽい音が出る人、肉っぽい音が出る人がいるがそれをこのツマミで調整することができる。上げると音の輪郭が明瞭になる。下げた場合、ベース本体についているトーンのようなレンジが狭くなるという効き方ではなく、あくまで音の輪郭が柔らかく耳当たりが優しくなる。弦を替えたてのときなどこのツマミを下げることで温かい音にしてくれる。下げすぎてモコモコしたり、奥に引っ込んだりすることがないので思い切って下げてみるのもいい。
- 「Wood」は上で説明した「Edge」を下げた場合に、木が鳴っているところの豊かな倍音の輪郭も柔らかくなり倍音の立ち上がりが遅くなる。それを補正し耳に届けやすくするのが「Wood」。ここまでで弦の鳴りとボディの鳴りのバランスをとる。
- 「Punch」で音のメリハリのハリを決める。
- 「Body」で音のメリハリのメリを決める。「Body」は音の膨らみや懐の深さ、奥行き感を調整するもの。「Body」を上げないまま「Punch」を上げると、音のハリばっかりが出てしまう。
- 「Density」は、ここまでのセッティングで倍音感やメリハリを作ったが、多少センシティブに弾かなければいけない音になる場合があるので、そんなときこれでしっかり抑え込む。
- 最後にもう一度「Level」で、本機の回路の癖や最終的なセッティングをした音をどのくらい押し出すか調整する。例えばアッパーな曲などでは上げめに、アコースティックなどの落ち着きめな曲では下げめにするなど好みで。
これ、私のほかにDynaForceをお持ちの方もぜひもう一度これを参考にツマミ回してみてください!私は、いっぺいさんからツマミの本来の狙いと働きを教えてもらい頭の中のイメージが整いました。その上で本機を再度いじって感動しました。そういうことが起きていなのかと。ツマミを回す順序は重要です。
最後に、本機のもう一つの特徴として、すべてフラットなセッティングの状態で既に独特の粘り感があります。これ、最初の話にもつながるのですが、後日、ある楽器店で人生で初めてヴィンテージ楽器と呼ばれるものを弾く機会に恵まれたのですが(1966年以前のヴィンテージ)、実はこれを弾いたときにDynaForceに感じていた同様の粘り感を感じたんです。しかも現行品のベースにはなかったです。こなれた感じというか枯れてるのに粘るというか。そこで自分なりに気づいたわけです。「そうかこれが世界中の人々に愛されてきた往年のベースサウンドなのか…」と。おそらくいっぺいさんはこうした、本人にとっては当たり前かもしれませんが、「いい音」を知っている人なのだなと改めて思いました。
ほかの機種もそうですが、いっぺいさんの莫大な知識と経験からひとつひとつ企画製作されているので、わたしなんかのピヨピヨひよっこには理解しきれない世界が箱の詰まっているわけですね。
ちなみにこのDynaForce、ミュート&チューンアウトスイッチやモデルによってはセンドリターンスイッチのみでバイパススイッチがないんですが、これについては、オンオフで信号(音の質)がまったく違うのでバイパススイッチは付けなかったとのことでした。確かにこの音を作っておいて、バイパス音に切り替える場面というのは到底考えられないです。しかもDIなどに送るラインの音がまったく変わってしまうので、トラブル回避のためバイパススイッチはないほうがいいと思いますね。
またまたちなみに本機は、ベースマガジン2019年9月号で紹介されています。
お持ちの方は読んでみてください。
ゆる~くはじめました。
こんにちは。
社会人ベーシストやってます。
主にベースで使えるエフェクターについて、そのときの印象やフィーリングを備忘録として残していきたいと思っています。
けっこうブログのレビューって参考になった経験が多々あるので、同じように情報を集めたいと思っている人の参考にでもなれば幸いです。あくまで主観ですが。